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福岡工業大学、人工知能の内視鏡外科手術利用に向けて 補助システムの検証実験に成功

 福岡工業大学(福岡市東区)が大分大学医学部と同理工学部、精密機器メーカーのオリンパス株式会社と共同で取り組んでいる人工知能(AI)を用いた内視鏡外科手術を補助するソフトウェア開発において、昨年末に大分大学病院で行われた腹腔鏡による胆のう摘出手術で開発ソフトを用いた検証実験が成功したことを、2019年1月17日に大分大学が発表しました。

 この取り組みは、日本医療研究開発機構(AMED)の「未来医療を実現する医療機器・システム開発事業」の一環であり、研究代表者は大分大医学部消化器・小児外科学講座の猪股雅史教授で、福岡工業大学はAIのソフトウェア開発を担当。開発は内視鏡外科手術が最も普及している胆のう摘出手術において進められ、安全な手術の遂行のためのいくつかの目印(ランドマーク)を手術映像上にリアルタイムで表示する技術の開発を行っています。

 内視鏡外科手術は、体に小さな穴を開けて内視鏡カメラや手術器具を差し込み、モニター画面を見ながら進める術式で、傷口が小さいので入院期間が短くてすみ、患者にとっては社会復帰が早いなどの長所があるため、機器の発展に伴って対象部位も広がり、実施件数は年々増加しています。しかし一方で、体表を大きく切り開く一般的な手術に比べて技術の高い習熟度が求められるため、場合によっては誤って切除するなど執刀医の判断ミスによる問題も起きています。

 今回のシステムは、大分大や日本内視鏡外科学会が保有する約100症例の手術動画から生成した数万枚の手術画像をAIに学習させることで、熟練医が経験から覚えた「暗黙の知」をコンピューターが解析し、手術を安全に進めるためのランドマークを手術映像上に表示するもの。システムが提示する情報を見ながら手術を行うことで、その安全性を高めることが期待されています。

 開発者である情報工学部情報システム工学科の徳安達士教授は、「この取り組みによって、内視鏡外科医の臨床的観点からAIの精度の善し悪しが評価されるため、手術現場で活用するまでAIを成長させるのにさまざまな工夫が必要だった」とコメント。開発チームは今後、臨床試験・治験に向けてさらに準備を進めていくとしています。

【研究者プロフィール】
徳安 達士(とくやす・たつし) 
福岡工業大学情報工学部 情報システム工学科 教授/情報工学博士
研究分野:医用システム(医用工学、人工知能)
所属学会:日本機械学会,日本ロボット学会,日本コンピュータ外科学会,日本内視鏡外科学会
https://www.fit.ac.jp/research/search/profile/id/183

▽福岡工業大学 情報工学部URL
http://www.fit.ac.jp/gakubu/joho_kougaku/index

【本リリースに関するお問い合わせ先】
福岡工業大学 入試広報部広報課  担当:竹岡
TEL:092-606-0607    e-mail:kouhou@fit.ac.jp

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